ノーベル賞を獲得したことで一気に有名になったiPS細胞をはじめ、細胞の培養が医療の分野で注目を集めるようになっています。これまで治療が不可能とされていた病気や怪我に対して培養された細胞を活用することで完治の道が開けるようになっているのです。
治療に用いる細胞は元になる生物から抽出された状態で保存・活用するだけでなく、培養することでより目的に合う環境へと導いたり、数を増やすといったメリットを得ることができます。iPS細胞が高く評価されているのは体のさまざまな部分の再生医療に使用できる余地があるからで、いかに細胞を培養することが重要な意味を持っているかが窺えます。
そんな細胞の培養は培養装置が使用されます。かつては大学の研究機関などで大規模な装置を使用して行っていた細胞の培養ですが、技術・研究両面の進歩からより小型で安価な培養装置が登場するようになりました。もちろん取り扱いには専門的な知識が必要ですが、価格・規模両方の面で中小企業などで十分使用可能なものが増えてきています。
民間企業でも培養装置を扱っているところが増えており、インターネットで商品の紹介や購入の問い合わせが可能な企業もあります。これらの企業では幅広いタイプの装置を取り揃えているところもあれば特定の種類の細胞を培養できる装置をセールスポイントにしているところもあります。培養装置といってもその種類は幅広く、動物の細胞を培養するためのものと植物の細胞を培養するためのものとでも異なってきます。細胞には空気を好む好気性と嫌う嫌気性の分類などもあるため、どういった細菌を培養するかによって適切なものを選ぶことが大事なのです。
近年では幹細胞など美容目的、とりわけエイジングケアで細胞を積極的に活用する機会が増えており、関連商品の市場規模が拡大している状況です。そうした点からも細胞の培養装置の需要は今後さらに伸び、小型化や低価格化といった点も進んでいくことが予想されています。