歯科医療器具についてのエンジニアリングを考えてみようと思います。
歯科医療器具のエンジニアリングに関しては昔からドイツが先進国と言うことは明白な事実でしょう。
ドイツは時計をはじめとする精密機器のエンジニアリングを得意としており、細かな技術を要する製品には非常に信用があります。
それと同時に旋盤機械でも使用しますが、刃物類に関しても優れた製品が多いことで有名です。
しかし、近年は日本も歯科医療器具のエンジニアリング部門においては急速にレベルアップをしています。
元々、日本人は手先が器用であり研究熱心です。
そして世界レベルの旋盤機械など、非常に優れた工作機械が揃ってきたことで、日本の歯科医療器具エンジニアリングがドイツに張り合えるところまで進歩したのです。
歯科医療器具の中でもハンドピースと呼ばれる患者の歯を削るドリル器具などは、数百もの多くのパーツから出来ています。
そのパーツにはミリ単位の極小サイズのものがあります。
その様なパーツの製造には正確な設計、優れた工作機械とそれを十分に扱える人間の経験と技術が必要です。
それら全てを含めて歯科医療器具のエンジニアリングと言っても良いのではないでしょうか。
ただ、先ほど触れた「人間の経験と技術」は最も重要で維持して行くのが大変なのではないでしょうか。
例えば同じ旋盤機械を使うにしても刃物の取り付けの微妙な角度差だけで、出来上がりは大きく異なるのです。
また、機械を設置している部屋の室温と湿度など環境の違いも影響してくると言われています。
さらに同じ旋盤機械であってもそれぞれ個体差があり、先端に取り付ける刃物も特注品を使用する場合にはその刃物の癖を考えての作業が必要になってきます。
マニュアルやデータだけでは表現が出来ないものを、どうやって次世代に伝えることが出来るかがこれからの課題と言えるでしょう。