腰痛は重い物を日常的に持つ仕事だけに起こるのではない。1日中デスクに向かう私のような身にも起こるものなのだ。病気や怪我などとは無縁だと思っていた20代後半、それは突然やってきた。デスクから立ち上がろうとして立ち上がることが出来なかったあの瞬間の驚愕を、今でも私の身体は覚えている。ヘルニアだと診断された後、手術以外の手段で再び歩けるようになるまで私と共に闘った私の身体だ。
治療手段は整体、鍼灸をメインに行った。共に初体験だったけれど、それで良かったと思っている。自分の身体の歪みに目を向けてもらったし、鍼灸の心地良さにも目を開いてもらった。そして自分の身体がゆっくりとだが確実に回復に向けて全力を尽くしているという実感を得ることも出来た。自分の身体を労る必要性を痛感したのも、この時のことだ。この時教えてもらったストレッチは、今でも毎日実行している。
そんな私に、周りの皆がストレッチや予防法を聞いてくるようになった。彼らだって明日は我が身なのだから、当然のことだった。私は教えてもらったストレッチだけではなく、自分でもネットを検索してヨガや食材なども調べていたから経験者ということ以外でも色々頼りにされるようになっていたらしい。社内報に載せるからと、インタビューされた。その後は月1回のペースで予防法やストレッチ法、効果的な食事などを定期的に載せるようになった。
思わぬ方向に話が進んでいることに当惑しながらも、忙しさに余計なことを考えるヒマなどなかった。ただ忙しくなればなるほど、自分の身体をケアすることにも熱心になっていったと言えるだろう。その点では、以前とは違う自信が私の内に育っていた。それからしばらくして、私の記事を書籍化したいと本社から言ってきた。私のストレッチを行うようになってから体調が良くなった、腰痛に悩む社員が激減したのだそうだ。私にとってはびっくりぽんなのだが、それよりも何よりも健康な身体とそれを維持していける自分を得たことが、何よりも嬉しくて誇らしいことだったのだ。
WELLNESS
No.85 ヘルニアと診断!手術以外のヘルニア治療手段と体験記
